日常の中に美が息づく、日本文化の豊かさを感じて—人間国宝・桂盛仁—

人間国宝・桂盛仁先生 金工/彫金のご紹介

時を超える視野のなかで制作に励む 彫金/人間国宝・桂盛仁

「日常の中に美が息づく、日本文化の豊かさを感じて」

彫金/人間国宝・桂盛仁先生

江戸時代に生まれた名工・柳川直政の流れを汲む家系に生まれ、幼少のころより父・桂盛行氏のもとで金工を学ばれた桂盛仁先生。
明治期の“超絶技巧”を想わせる精緻な造形が高く評価され、奈良・薬師寺の国宝「東塔」舎利容器(釈迦の遺骨を納める容器)の制作や、文化庁からの依頼作品など、数々の重要な制作を手がけてこられました。 現在は制作の傍ら、美術大学や工芸高等学校で後進の指導にもあたられ、さらに企業とのコラボレーションなどを通して、日本の伝統金工の魅力を広く発信されています。


桂 盛仁先生の作品の特徴

今にも動き出しそうな動物、摘みたてのように瑞々しい草花──。 桂先生の作品は、金属という素材を超えて“生命の息吹”を宿します。制作前には必ず動物園などで実物を観察し、スケッチを重ね、さらに粘土で立体模型を作ってから制作に臨まれるという桂先生。体温を感じるような造形は、モチーフを深く理解することから生まれるのですね。
得意とする技法は“型を使わず鏨(たがね)で地金を叩き出す”伝統技法〈打出(うちだし)〉。ARTerrace取扱い作品「蝸牛 打出し器」にてお楽しみいただけます。金属の硬さや扱いにくさを感じさせない、洗練された技巧による自在な造形は、まさに柳川派の真髄といえるでしょう。
また、追究を続ける「色上(いろあげ)」技法も見逃せません。これは金属を薬品に浸して化学反応により色彩を生み出す技術で、赤漆を思わせる鮮烈な赤や、青みを帯びた黒などを金属で表現することができます。 なかでも、桂先生が独自に研究を重ねてきた「緋銅(ひどう)仕上げ」は、金属から「真紅」を発色させることができます。防錆効果も兼ね備えたこの技法から、桂盛仁先生ならではの、温かく艶やかな表情の作品が生みだされます。

桂 盛仁先生からメッセージ

すべての彫金技法を身につけ、さらに研鑽を重ねていきたいと思っています。また、若い世代にこれらの技術を伝え、継承してもらいたいと願っています。

工芸作品はもともと、家庭の中で使い、鑑賞されてきたものです。日常の中に美が息づく、日本文化の豊かさを改めて感じていただけたら幸いです。

蝸牛 打出し器
蝸牛 打出し器
桂 盛仁
道導べ(ハンミョー) 香盒
道導べ香盒
桂 盛仁

 

柳川派金工の鑑賞ポイント

一、モチーフの生命感

柳川派の特徴は、自然に即した生き生きとしたモチーフにあります。 龍や獅子といった力強い題材だけでなく、ひよこや犬など身近で愛らしい動物をも精緻に表現。桂先生は特に、鳥や花など“自然界の小さき生命”を彫金で瑞々しく表現なさっています。

二、高肉彫の立体感

柳川派の技術力を象徴するのが〈高肉彫(たかにくぼり)〉とよばれる、金属板を裏から打ち出して立体的に浮かび上がらせる技法で、刀装具の目貫(柄巻に用いる滑り止め)制作などにも使われました。一枚の薄い金属板から打ち出したとは思えないほどの量感を表す、柳川派ならではの美の技です。


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