彩塗椀一対(大小2個組)
  • 彩塗椀一対(大小2個組)
  • 彩塗椀一対(大小2個組)
新作
一次販売
展示中
~荒川 文彦先生からみなさまへ~ 上質欅材を轆轤にて大小二種造形し、ぼかし塗り技法で塗り上げています。味噌汁はもちろん、漆のお椀でご飯をいただくと、ご飯の白がくっきりと見え、お茶碗と違う感覚でご飯をいただくことができると思います。
  • Year of Production
    -
  • Artwork Dimensions
    奥行12.0cm × 幅12.0cm × 高さ7.0cm
  • Shared Box
    有
  • Material
    欅材 (挽物)
  • Technique
    塗立て
  • Artwork Condition
    新品、未使用
  • Format
    現物あり(証明書あり)
  • Authenticity Determination Data
    有
  • Storage/Exhibition Location
    飛鳥Ⅱ
  • Seller
    ARTerrace
  • Scheduled Shipping Date, etc.
    通常1ヶ月程度(※作家による作品確認や船の運航状況等により、お届けが前後する場合がございます)
彩塗椀一対(大小2個組)
  • 彩塗椀一対(大小2個組)
  • 彩塗椀一対(大小2個組)
さいぬりわんいっつい

彩塗椀一対(大小2個組)

荒川 文彦
日本工芸会正会員
漆芸新作一次販売展示中

Bid/purchase currency: Japanese yen

Price (including tax)
¥
55,000
  • Year of Production
    -
  • Artwork Dimensions
    奥行12.0cm × 幅12.0cm × 高さ7.0cm
  • Shared Box
    有
  • Material
    欅材 (挽物)
  • Technique
    塗立て
  • Artwork Condition
    新品、未使用
  • Format
    現物あり(証明書あり)
  • Authenticity Determination Data
    有
  • Storage/Exhibition Location
    飛鳥Ⅱ
  • Seller
    ARTerrace
  • Scheduled Shipping Date, etc.
    通常1ヶ月程度(※作家による作品確認や船の運航状況等により、お届けが前後する場合がございます)
あらかわ ふみひこ

荒川 文彦

日本工芸会

漆芸

荒川 文彦
  • 2005

    第52回日本伝統工芸展 文部科学大臣賞受賞

  • 2007

    日本伝統漆芸展 文化庁長官賞受賞

  • 2019

    現代美術展 一般の部 最高賞受賞

  • 2023

    石川の伝統工芸展 石川県知事賞受賞

漆の器に宇宙を宿す

石川県の伝統工芸産業として知られる山中漆器。その地で三代にわたり漆器を家業としてきた、漆芸作家・荒川文彦(あらかわ・ふみひこ)先生。荒川先生は乾漆(かんしつ)技法を中心に制作なさっており、塗立てによる仕上げと銀線を用いた加飾を特徴とする作風です。第4回「飛鳥クルーズ賞(2026年)」受賞に際し、作品づくりの原点から、素材との向き合い方、作家として目指すところまで伺いました。

取材・文:藤田 綾佳(ARTerrace アーテラス)


「造形から、自ら手がけたい」との想い

——どのような技法で制作されているのでしょうか。

荒川文彦先生:

 現在は、乾漆(かんしつ)技法を中心に制作しています。麻布などを芯にして漆を重ねながら形をつくっていくことで、ゼロから自分で造形することができます。

 山中漆器の特徴のひとつに「轆轤(ろくろ)」があります。木を回転させながら挽いて、漆器の素地となる木地をつくります。山中には、轆轤の長い伝統があります。僕も最初は、轆轤で挽いた木地を使った作品づくりをしていました。その場合、木地そのものは木地職人さんにお願いすることになります。

 木地は漆器の形が決まる部分ですから、そこを自分で成形できないと面白くないなと思うようになって(笑)。そこで取り入れたのが乾漆技法です。現在の作品の多くは、乾漆技法によるものです。

——荒川先生の作品には、星や月、宇宙を思わせるタイトルや表現が多く見られます。どういったきっかけで、現在の表現につながっていったのでしょうか。

荒川文彦先生:

 子どもの頃から天体が好きでした。とはいっても、最初から天体をモチーフにした作品づくりを目指していたわけではありません。蒔絵を生業にしている友人を訪ねたとき、たまたま素材として置かれていた銀線(銀製のワイヤー)が目に留まりました。「待てよ。これを使って、何か新しい表現ができるのでは」と思いを巡らせるなかで、好きだった天体へとつながっていきました。銀線を使って星の軌道を表現できるんじゃないか、宇宙という壮大な空間のなかで星が動いていく様子を表現できるんじゃないか、と。そして、銀線で表現した軌道を生かすような漆の色を考えていきました。こうした経緯で、天体や宇宙空間、星の軌道といったものを、作品のモチーフとして取り入れています。

《宇宙(そら)のかなた》で描く、雄大なスケール

——飛鳥船上の展示作品について教えてください。

荒川文彦先生:

 『宇宙(そら)のかなた』というタイトルの、乾漆技法で制作した楕円形の作品です。星の軌道のイメージで、ボディを楕円で作りました。銀線で3本のラインを引き、中央部分に、星に見立てた3つのパーツをあしらいました。宇宙空間の雄大さを表現しています。

 

飛鳥クルーズ賞受賞作家・荒川文彦先生の作品 乾漆楕円箱「宇宙のかなた」乾漆楕円箱「宇宙(そら)のかなた」/荒川 文彦

——普段の生活のなかで、作品のアイディアが突然浮かんでくることもありますか。

荒川文彦先生:

 造形については、ふと「こういう形をつくってみたいな」と湧いてくることがありますね。そのあときちんと図案にしておかないと、そのまま忘れてしまいます(笑)。だから、アイディアが突然降ってくるというよりは、「こういう造形で作る方法を考えてみよう」と取り掛かって考えていくことのほうが多いです。

——ご自身の作風について教えてください。

荒川文彦先生:

 ボディづくりは乾漆で、その後の仕上げの工程は「塗立て(ぬりたて)*」で仕上げています。漆を塗ったあと、「呂色(ろいろ)上げ **」といって漆の表面に磨きを重ねて艶を出していく方法もありますが、僕は漆そのものの肌を見せたいので、塗立てにこだわっています。

  漆芸には蒔絵をはじめ多くの加飾技法がありますが、僕は、漆そのものが持つ風合いや色合いを生かしたいから、なるべく塗りだけで仕上げています。用途や形状に対して、どの色を選ぶか、どのくらいの艶があると器が生きてくるのかを考えながら制作します。漆を均一に塗ることや、塗膜の厚みを整えることが重要になってきます。 

*塗立てとは、上塗りの時、漆を塗ったあと表面を磨かずに仕上げる技法を指します。塗立て用の漆は、硬化後に油分による光沢があり、漆独特のふっくらした風合いに仕上がります。

**呂色用の漆は硬化するとマットなテクスチャになります。表面に艶を出すには、磨く工程が必要になります。

——制作のなかで、特に難しさを感じるのはどんなところでしょうか。

荒川文彦先生:

 やはり、漆の肌をいかにきれいに見せるかというところですね。漆には個体差があり、それぞれ乾く速さも違います。今回扱っている漆がどんな性質なのか把握して、その特徴を利用しながら制作しなければならない。漆は、一般的な塗料のように水分が飛んで乾くものではありません。適度な湿度のなかで、水が触媒になり酸化反応によって硬化していきます。逆に湿度が高すぎても、表面がくしゅくしゅっと縮れていき、駄目になってしまいます。

 また、漆の世界では「ホシ」と呼んだりしますが、細かなほこりや塵が付着してもいけません。ひとつ付いただけでも目立ってしまいますから、いかに付かないようにするか、どうやってきれいに取り除くかも難しいところ。

 漆に「遊ばれてしまう」ことはよくあります。だから僕は、漆に遊ばれるのではなくて、「漆と遊んであげる」くらいの気持ちで制作しています。

——ご自身の作品を、皆様にどのように楽しんでいただきたいですか。

荒川文彦先生:

 僕が普段つくっているものは、テーブルウェアが多いです。お椀やお皿、銘々皿などですね。僕は、「うつわ」というものは、あくまでも「食べ物を生かす」ものだと思っています。作家の自己表現があまりに強くなって、食べ物を殺してしまうような器にはしたくない。料理も器も生きる、そのバランスを考えながらつくっています。手に取った方に、そういったところを感じていただければ嬉しいですね。

「これは荒川の作だ」とわかる作品を

——作家として、これから目指していきたいところは。

荒川文彦先生:

 漆芸作家として活動を始める前に、恩師から言われた言葉を今も思い出します。

「作品を見たときに、『これは荒川の作品だ』と分かってもらえるような作品をつくっていかなきゃいけない」

 そこを目指して、愚直にやってきました。最近ようやく、「これ荒川の作品やな」と言っていただけるようになってきました。だから、目指していたところに少しはたどり着いたのかな。今後も、もっともっと自分らしい作品づくりを極めていきたいですね。

——荒川先生にとって、「制作」とはどのような時間でしょうか。

荒川文彦先生:

 「無」の空間から何かをつくり出して、「有」にしていく。「何をつくっていこうかな」と考えているときには、すごくわくわくするんです。一方で、実際につくり始めれば、「これをどういう形にしたらいいだろう」「どう仕上げれば、自分の考えているものになるだろう」といった、現実の部分での産みの苦しみがあります。楽しみでもあり、苦しみでもある。その両方ですね(笑)。

——最後に、飛鳥の船上で作品をご覧になる方へメッセージをお願いします。

荒川文彦先生:

 やはり、漆の美しさを感じていただきたい。漆には独特の風合いがあります。柔らかな艶や、しっとりとした潤いのようなものがある。「漆そのものの魅力」を感じてもらえるような作品づくりを目指していますから、自分の作品を通して少しでも、皆様に漆のよさを伝えられれば嬉しいです。

山中漆器の産地で育ちながら、作品の形を自ら生み出すために乾漆を選び、一本の銀線に惑星の軌道を見いだした荒川文彦先生。「うつわは、食べ物を生かすためのもの」の言葉どおり、荒川先生の作品には、作家としての造形への意志と、「用の美」としての節度が同居しています。

作品に描かれた星の軌道とともに、漆そのものが持つ柔らかな艶や潤いも、ぜひお楽しみください。


➤ 関連記事
VIEW MORE