花器セレクション

このたびARTerraceでは暮らしに彩を添える取扱作品セレクションのご案内をはじめました。第一回は【花器】セレクションをお届けいたします。

ARTerraceおすすめギフト 花器セレクション 

 

ARTerrace セレクションのご案内

 このたびARTerraceでは暮らしに彩を添える取扱作品セレクションのご案内をはじめました。第一回は【花器】セレクションをお届けいたします。
 

 純白の素地に、繊細に柔らかく広がる「呉須(ごす)」の彩り。日本工芸会正会員・小形こず恵(おがた こずえ)先生は、陶都・愛知県瀬戸市にて「瀬戸染付」を学び、四季折々の草花を優しいタッチで描き続けてこられました。 近年、植物モチーフにぴったりの、緑みを帯びた青や藤色をはじめとしたカラフルな表現にも取り組まれており、みずみずしい世界観は特に女性人気が高いです。作品の一部は愛知県陶磁美術館などに所蔵されており、技術・デザインともに美術的価値のある作品です。 

 今回ご紹介するのは、鶴の首のようにすらりと立ち上がる造形が印象的な花器です。ふっくらと丸みを帯びた胴と、すっと天に伸びる口元との対比が見事で、白地に映えるコバルトブルーが遠くからでも目を引きます。絵付けの際には、筆のみならずスプレーによる吹付技法を用い、淡くやわらかなグラデーションが丁寧に表現されています。小形こず恵先生の魅力の詰まった一品です。

▼染付紫陽花紋瓶|そめつけあじさいもんびん▼

染付紫陽花紋瓶|そめつけあじさいもんびん

染付紫陽花紋瓶◆作品ページ

作品寸法 径 12.5㎝ × 高さ 31.0㎝

 ▼技法の解説コラムはこちら▼

伝統工芸技法「染付(そめつけ)」についての解説

〈染付〉について


~小形 こず恵先生からみなさまへ~
 胴の部分はふっくらと丸く、首の部分は細く長い「鶴首」の瓶です。柔らかく広がるような呉須の青と、すっと伸びた鶴首の素地の白。色のコントラストや立体としての面白さを、魅力に感じていただけたら幸いです。

編集部:小形先生をおたずねしたとき目にとまったのは、急須の中に三つの湯呑みがすっきりと収まる「旅急須(たびきゅうす)」。ウィリアム・モリスの思想やホイスラーに関心を寄せていた人間国宝、故・富本憲吉(とみもとけんきち)氏の作品でも有名な旅急須は、機能性と美を兼ね備えた逸品です。旅のお供として、日常のワンシーンを彩る「うつわ」本来の姿をお楽しみいただけます。

 

 花器として、また、そのままインテリアとしてもお使いいただけるデザインの花器をご紹介します。
 こちらの作品を手がけられた作家、東京都国立市を拠点に活動する保立剛(ほたて つよし)先生は、アパレルで服飾デザインを手がけられた後、陶芸の道に進まれたご経歴をお持ちです。「紺青彩零雨文花器」は透明な釉薬のランダムな模様が光を受け、まさに窓を濡らす雨粒のように感じられる一方で、光の加減が異なると、とびきり明るい流星群のたくさん流れる夜空のようにも見えます。
  朝陽、午後の日差し、夕暮れ、そして夜の灯りの下、一日を通して移り変わる光とともに、様々な表情をお楽しみいただけるモダンなデザインの作品です。
 

▼紺青彩零雨文花器|こんじょうさいれいうもんかき▼

紺青彩零雨文花器 |こんじょうさいれいうもんかき

紺青彩零雨文花器◆作品ページ

作品寸法 幅38.2㎝ × 奥行 15.1cm × 高さ 11.2㎝

~保立 剛先生からみなさまへ~
『Light & Shade』光と影は、私たちの世界において永遠の対比です。光が存在すれば、そこには影も生まれます。そして、その二つの要素が調和し合うことで、美しい景色や深い表現が生まれるのです。私の作品は、この光と影の対比をテーマに制作しました。 土から生まれる陶芸作品は、自然の中で光が当たるときに生まれる影と共に、その美しさを発揮します。それぞれの作品には、光の差し 込む角度や影の移り変わりが、独自の美しさを生み出しています。作品を通じて、光と影が織りなす美しい世界を感じ取っていただければ幸いです。

 昨今、明治期の卓越した工芸作品を“超絶技巧”と称し、ロストテクノロジーとしての評価がなされはじめています。明治の超絶技巧に対し現代の工芸作家がどこまで迫り得るのか——その問いに確かな答えを提示しているのが、重要無形文化財「彫金」保持者、人間国宝・桂盛仁(かつら もりひと)先生です 。

 今回ご紹介するのは「銷象嵌(けしぞうがん)」技法を用いた花器です。銷象嵌とは、アマルガムを用いて熱処理で金属装飾を定着させる高度な金工技術です。象嵌が物理的に異素材を嵌め込むのに対し、銷象嵌は模様が作品表面に溶け込むようになめらかに馴染み、極めて繊細な表現ができます。

▼麦文花瓶|むぎもんかびん▼

麦文花瓶|むぎもんかびん

麥文花瓶◆作品ページ

作品寸法 径 11.5㎝ × 高さ 11.5㎝

~桂 盛仁先生からみなさまへ~

麦が実り、天にそびえるが如く光り輝く情景を銷象嵌で表現しました。

 

 桂盛仁先生は、刀装金工家の系譜を受け継ぐ彫金と帯留金具の名人・桂盛行を父に持ち、打ち出しや彫金、象嵌(ぞうがん)等の技法を駆使し高い評価を得てきた金工作家です。宮内庁買い上げ、文化庁長官賞を受賞するなど実績を積み、2008年に重要無形文化財「彫金」保持者(人間国宝)に認定されています。

 ▼各伝統工芸技法の解説コラムはこちら▼

伝統工芸技法「彫金(彫金)」についての解説

〈彫金〉について

「象嵌」についての解説

〈象嵌〉について 


編集部:工房にお邪魔した際、ポケモン「ブラッキー」のピンズが桂先生の胸元を飾っていたのが印象的でした(ポケモン工芸展で制作なさった帯留めデザインです)。ブラッキーをお選びになった理由は、ポケモン図鑑のなかで「金属の色で再現可能かどうか」。黒色部分は赤銅(しゃくどう)、黄色部分は金で制作されているそうです。桂先生は制作の傍ら、工芸高校や工房での後継者指導や、ポケモン×工芸展、セイコー「クレドール」、GUCCI、ヴァン クリーフ&アーペルなど様々な企業・キャラクターとのコラボレーションにも積極的に取り組み、超絶技巧を後代に残すべく精力的に活動なさっています。

 

 春から夏にかけての季節、お花を長持ちさせる非常に優れた機能性を誇る「備前焼」の花器はいかがでしょうか。備前焼は釉薬をかけず絵付けをしないため、極微細な気孔があって通気性が保たれます。切り花は暑さを嫌いますが、備前焼は気化熱の作用で花瓶の中と周辺の温度上昇を抑えることができ、お花が長く楽しめます。また遮光性が高いため藻やカビの繁殖が抑えられ水の劣化を遅らせることができます。
 今回ご紹介する「角花生」を手がけられた伊勢崎淳(いせざき じゅん)先生は、備前焼の産地として多くの窯元が残る岡山県備前市伊部に、陶芸家・伊勢崎陽山の長男として生を受け、父に師事し作陶を開始しました。 伊勢崎先生の作品の特徴は、現代美術のようなモダンな造形美にもあります。学生時代に彫刻や絵画など様々なジャンルの芸術に触れ、世界各地を訪ねたご経験から。特に故郷の風土をモチーフにした作品を多く残した画家ジョアン・ミロの影響を強く受けているそうです。
 
▼角花生|かくはないけ▼

染付紫陽花紋瓶|そめつけあじさいもんびん

角花生◆作品ページ

作品寸法 幅 8.1cm × 奥行 8.1cm × 高さ 25.0cm

~伊勢﨑 淳先生からみなさまへ~
備前焼は釉薬をかけずに焼き締める稀有な陶器。昭和26年、800年の歴史の中で近代絶えていた穴窯を復元し、それ以来、表現としての焼き物に取り組んでいます。穴窯の特徴を感じてもらえたらと思います。
 
編集部:伊勢崎淳先生からのメッセージの通り、先生は、江戸時代以降失われていた「穴窯」の復元にも挑まれました。穴窯は量産には向かず、手間も時間もかかるものの、炎の流れによって生まれる窯変(ようへん)の妙味を最大限に引き出す焼成ができます。それは父・陽山氏が志半ばで果たせなかった夢でもありました。数百年の時を越えて穴窯で焼成した作品を私たちが手に取れるのは、親子二代の情熱あってこそです。受けついできた伝統技術に独自の造形美を加え、備前焼のさらなる発展への思いを込めながらこんにちも技術継承に力を入れていらっしゃいます。

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ARTerrace カスタマーサポートsupport@arterrace.jp