人間国宝・室瀬和美先生が客船「飛鳥Ⅲ」アトリウム作品「耀光耀瑛」への銘入れを行いました

2025年12月24日
お知らせ

NEWS / 船上イベント カテゴリ:イベントレポート

 

 2025年12月23日、客船「飛鳥Ⅲ」のために制作された人間国宝・室瀬和美先生の漆芸作品に、蒔絵技法による「銘入れ」が船内で実施され、無事に完了いたしました。

 揺れを伴う外洋航海中に、垂直面を含む立体作品へ蒔絵を施すという条件下で行われた本工程は、「人間国宝」の高度な技術と精神性をあらためて示すものとなりました。

三層吹き抜けのアトリウムを彩る、高さ約9メートルの漆芸作品「耀光耀瑛」

 飛鳥Ⅲ船内に足を踏み入れると、三層吹き抜けのアトリウム中央で燦然と金色に輝く漆芸作品が来訪客を出迎えます。「耀光耀瑛(ようこう・ようえい)」と名付けられた本作は、室瀬和美先生による高さ約9メートル×幅3メートルに及ぶ大型作品です。

揺れる船内での銘入れ、立体作品への蒔絵という挑戦

 今回の銘入れは、「Xmasクルーズ」航海中の船内での実施となりました。加えて、対象は垂直に立ち上がる立体作品。制作環境としても前例がなく、きわめて難易度の高い条件が重なった、まさに「初めて尽くし」の現場となりました。

 先生ご本人も「大変だった」と語られるほどの緊張感のなか、朱漆で描いた銘の上から、筆で金粉を蒔くかたちで仕上げが行われました。船の揺れという不可避の条件下でも、作品の品格と精度を損なうことなく工程は完了し、大変印象深いひとときとなりました。

銘入れイベントを彩った、蒔絵ハープの演奏

 銘入れイベントの冒頭では、室瀬先生が蒔絵を施したハープによる演奏が披露されました。美しく豊かな音色が空間を満たし、「漆芸が"響き"をまとう」演出となりました。なお、12月25日にもアトリウムにて演奏・対談イベントを予定しております。

エピソード◇

 室瀬和美先生は、重要無形文化財「蒔絵」保持者(人間国宝)であると同時に、昨年6月まで公益社団法人日本工芸会の副理事長も務められ、客船「飛鳥」とのコラボレーションにおいても中心となって尽力されています。

 実は、世界的に著名な書家・矢萩春恵氏が「飛鳥Ⅲ」の船名を揮毫した背景には、矢萩氏が室瀬先生の書の師匠であるという長年のご縁がありました。工芸と書――異なる領域の表現がひとつの船の「顔」として結晶したこのエピソードにも、飛鳥Ⅲの掲げる文化発信の姿勢が表れています。


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