陶器/磁器の保管・お手入れナビ

大切なお品物を長くご愛用いただくために、陶磁器のお手入れ方法をご案内いたします。

伝統工芸:陶芸作品を長くご愛用いただくために、 陶器・磁器工芸品のお手入れ方法をご案内いたします。

 

「陶芸」作品を未来へつなぐ

〜正しい保管とお手入れナビ〜

 
 古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた「やきもの」。食器や酒器、花器や人形など、陶芸作品は今もなお日常を美しく彩る存在です。
  お気に入りの作品を長くご愛用いただくために、陶器・磁器・炻器(せっき)の特徴に応じたお手入れと保管のポイントについてご紹介します。
 
 

やきものの種類と特徴

 
<陶器>
 萩焼や益子焼に代表される、厚みがあり吸水性の高いやきものです。粘土を原料に低温で焼かれ、軽く叩くと鈍くこもった音がします。温まりやすく冷めにくいため食器にも適します。
 
<磁器>
 陶石を砕いて作られたやきもので、透明感のある緻密な素地が特徴です。吸水性がほとんどなく、叩くと金属的な高い音がします。有田焼や砥部焼が代表例です。
 
<炻器(せっき)>
 陶器と磁器の中間にあたるやきもので、高温で焼き締められるため"焼き締め"とも呼ばれます。備前焼や常滑焼、古くは須恵器に代表されます。
 
 

ご使用時の注意点

 
 すべてのやきものに共通して、食洗器の使用は避けてください。水圧や熱で破損の恐れがあります。炻器の一部には電子レンジやオーブン対応のものもありますが、必ず表示をご確認ください。
 金や銀、プラチナなど金属の絵付けがある磁器は、発火の危険がありますので電子レンジの使用はお控えください。
 花器は使用後、カビ予防のために内部の水分をよく乾かしてから保管してください。
 

素材別・ご家庭でのお手入れ方法

 
<陶器>
 初めて使用する際は、米のとぎ汁で煮沸する「目止め」がおすすめです。目に見えない細かな穴をふさぐことで、染みや臭い移りを防ぎます。日常的には、使用前に水にさっとくぐらせると汚れやシミの防止になります。
 洗浄時は、中性洗剤とやわらかいスポンジで優しく行ってください。博多人形など繊細な絵付けのあるものは、水分や摩擦で表面が傷むおそれがあるため乾いた布で埃を払う程度に留めましょう。
 
<磁器>
  目止めは不要です。使用後は食器用洗剤とやわらかいスポンジで洗い、よく乾かしてから収納してください。
 金属釉のある部分に酸性食品(梅干しやレモンなど)を長時間置くと変色する場合があります。
 上絵付けや金彩が施されたものには、クレンザーやたわしの使用は避けてください。 
 
<炻器>
  使い始めに匂いが気になる場合は、沸騰したお湯で15分ほど煮沸すると和らぎます。釉薬がかかっていないものは油染みが残りやすいため、使用前にぬるま湯にくぐらせるのがおすすめです。目止めは不要ですが、洗浄後はしっかりと乾燥させてください。
 
 
\ARTerraceでは、作家本人によるメンテナンスサービスを提供できる場合がございますので、お気軽にお問い合わせください。/
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保管方法について

 
 いずれの素材も、高所や不安定な棚には置かず、扉付きの棚などで埃・紫外線を防ぎましょう。 飾る際は、免震マットを敷く、中におもりを入れるなどの地震対策をすると安心です。 素材ごとに分けて重ね、陶器は陶器、磁器は磁器など同種の器同士で収納すると、傷や破損を防げます。
 
<陶器>
釉薬がかかっていない陶器は吸水性が高いため、洗浄後は風通しの良い場所で高台を上にして十分に乾燥させましょう。共箱にしまう場合や湿気の多い季節には、除湿剤の使用をおすすめします。
 
<磁器>
 洗浄後は柔らかい布や和紙で包み、なるべく空気に触れないようにして収納します。金彩・銀彩など金属の装飾がある場合、酸化により黒ずみが出ることがあります。その際は専用クリームなどで軽く磨くと目立ちにくくなります。 
 
<炻器>
 湿気の多い季節には乾燥剤を入れ、緩衝材で包んで収納を。カビ予防のため、必ずよく乾かしてから収納してください。
 
 定期的なお手入れと正しい保管方法を実践することで、作品本来の美しい姿で次の世代へバトンタッチ。今日から始める小さな心がけが、未来への贈り物となります。