
「染織」作品を未来へつなぐ
〜正しい保管とお手入れナビ〜
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染織(染物・織物)品は、適切なケアで世代を超えて引き継いでいけるサステナブルな素材です。
「ママ振(ふり)」というように、振袖や留袖などの大切な一着を世代を超えて愛用する方が増えていらっしゃいます。着物に限らず、帛紗(ふくさ)や手ぬぐいなど様々な形で手に取る機会も多いことでしょう。
大切なお品物を長くご愛用いただくために、染織品を湿気やカビ、虫害などから守るためのお手入れ方法をご案内いたします。
染織品は模様や素材などのラインナップが多く、お気に入りの作品が見つかりやすい一方で、生地を傷める原因が大きく5つ存在します。
湿気・虫害・ガス・タンパク質の残留・紫外線から守ることが保管の基本です。特に正絹やウールは害虫の好物で、カビも発生しやすいため注意が必要です。 ※ガスは、汗が化学反応を起こすなど様々な要因で発生し、空気中や箪笥の中などにわずかに含まれています
着用後の影干しに加え、年2〜3回の虫干しが必要です。梅雨明けや秋冬の乾燥した晴れの日に、直射日光の当たらない風通しの良い場所で、着物をハンガーなどに掛け風を通し湿気を飛ばします。虫干しと同時に、虫食いの痕やシミがないかの状態確認、防虫剤やたとう紙(吸湿・防塵・皺防止機能をもつ、着物の保管に用いる和紙)の交換を行います。たとう紙も定期的に状態確認を行い、汚れや黄ばみがあれば交換してください。
直射日光を避け、乾燥した場所で保管してください。専用ケースや共箱を活用し、帛紗などは折らずに開いたまま共箱などに入れ保管します。長期保管前や汚れが気になる場合は、クリーニングにお出しいただくのもおすすめです(家庭用洗剤や洗濯機を使うと生地を傷めるおそれがあります)。皮脂汚れが除去され、カビや虫害の予防になります。
定期的なお手入れと正しい保管方法を実践することで、染織作品の美しい姿を保ったまま次の世代へバトンタッチできます。
今日から始める小さな心がけが、未来への贈り物となります。