染物とは |
白生地にいろいろな色の染料で模様を染めます。糸目糊というのりで模様を描く友禅染や、型を使って染める型染があります。
友禅染 |
友様染は日本を代表する染物のひとつで、白生地にのりで模様を描いて、様々な色を染めていきます。一度着物の形に仕立ててから青花液(あおばなえき)という、洗うと色の残らない液で下絵を描きます。その下絵の線の上にのりを置き、色どうしが混ざるのを防ぎます。そして、模様に合わせて色を塗ります。最後に、こののりを洗い流し、細く白い線を残すのが糸目友禅です。また、この白い線が残らないように模様を染める方法を堰出友禅といいます。
糸目友禅に使うのりは「糸目糊」と呼び、もち米の粉と米の粉を混ぜてつくります。
①青花液で描いた下絵の上にのりを置く
②のりが乾いたら模様に色を塗り、蒸して色を定着させる
③地色を染めるため模様と白く残したい部分にのりを被せる
④色を定着させるため、生地を蒸してから洗って完成
型絵染 |
型絵染は模様の下絵を渋紙という丈夫な和紙に貼り、その上から彫って型紙をつくります。そしてできた型紙の上にくり返しのりを置き、連続した模様に合わせて色をさし、染める方法のことです。
①模様の下絵を描き、薄紙に写す
②渋紙に薄紙をはり、模様を彫る
③板に貼った生地の上に型紙をのせ、のりを置く
④のりを置いてない部分に小刷毛で色をさし、乾燥したら洗って完成
生地に地染めや模様を染める時は、主に化学染料や顔料が使われます。長板中形は、植物の藍波につけて染めます。糸染には化学染料も用いられますが、茜・紅花・刈安・ウコン等植物染料が使われます。
しかし、これらの染料は染めたままでは色が安定しません。そこで色を定着させるために、タンニンやミョウバンなど水に溶かした金属と化学反応させて、固着・発色させます。この工程を、「媒染する」と呼び、金風の溶液を「媒染剤」といいます。
江戸小紋 |
江戸時代に武士が礼装用に着た裃に細かな柄が染められ発達しました。その後庶民の着物にも染められるようになりました。江戸小紋は、昔から伊勢型紙を使って染められます。
遠くから見ると一見無地のように見えますが、近くで見ると、とても細かく、繊細な連続の模様が見所です。また地色は一色で染められることがほとんどです。
①板に白生地を張り、型紙をのせてのりを置き柄づけする
②色糊をヘラでしごいて置き、蒸して水洗いをして完成
長板中形 |
江戸小紋は細かな模様を絹の生地に染めますが、長板中形は大きめの模様を長板(長さ約6.5メートルの板)を使い木綿の浴衣に染めます。型紙を使ってのりを両面に置き、白地に藍の模様を両面にすっきり染める日本の伝統的な方法です。
①長板に木綿の布を張って赤色ののりを表裏に置く
②布地の表と裏に大豆の汗を刷毛で引く
③布全体を藍液につけて染める
④水で赤色ののりを洗い流すと、藍色の模様が現れて完成
木版染 |
模様を彫った木の版に刷毛で染料を塗り、生地に当て、金づちでたたいて模様を染めつけます。木の版のひとつひとつは単純な形ですが、それらを組み合わせていろいろな模様をつくり出すことができます。
〈木版染の制作工程〉
①模様に合った木の版を選ぶ
②生地に青花液で下絵を描く
③染料を塗った木の版を下絵に合わせ、叩いて染める
④模様の上にのりを置いて地置を染めて蒸し、水洗いして完成
伊勢型紙 |
江戸小紋や長板中形で使われる型紙は昔から三重県鈴鹿市でつくられています。さまざまな手彫りの方法によって、色々な模様が生み出されます。
<出典:『伝統工芸ってなに?』日本工芸会東日本支部編/芸艸堂刊 P.20〜23>