砡 |
翡翠、瑪瑙、水晶などのかたくて貴重な石を砡(ぎょく、ぎく)と呼びます。これらの原石を削り出して茶碗や香合などの作品をつくります。
〈砡の制作工程〉
①原石の模様を活かすように考えながら切り出す
②作品の形に合わせてクシの歯型に切りこみをいれ欠いていく
③研磨機の先の鉄のコマに砂をつけ回転させて削る
④木のコマにみがき粉をつけ磨いて完成
硯 |
硯は、筆を使って文字を書くための墨をする用具で、墨をすりながら心を落ち着かせる大切な文房具でもあります。材料の石から硯となる形に大まかに切り出し、長い柄のノミをつかって、墨をするたいらな部分や墨がたまるくぼみを彫って形をつくります。完成した形に漆やロウを塗って仕上げます。
山梨県の雨畑岩(粘板岩)や山口県の赤間岩(輝緑凝灰岩)、愛知県の鳳来寺岩(頁岩、粘板岩)などが代表的な石です。
〈硯の制作工程〉
材料は粘板岩や輝緑凝灰岩という石です。硯を彫るための長い柄のノミを使用し、肩にノミをあててささえながら硯を彫ります。
截金 |
元々は仏像などを美しく飾るための技法でしたが、現代では飾箱等の工芸作品がつくられています。
截金作品のつくり方は、まず、金を薄く紙のようにのばしてつくる金箔を、炭火で焼いてはり合わせ、厚みを出します。はり合わせた金を竹の刀で線や四角・三角などに細かく切ります。筆を使い、模様の形に金箔を貼って完成します。
象牙 |
象牙とは、象の牙のことです。
適当なかたさと粘り、美しいつやがあるので、江戸時代には象牙を細かく彫刻した根付(ストラップのようなもの)が流行しました。直径15センチほどの象牙をノミとやすりを使って形をつくります。表面の凹凸を小刀でなめらかに削り、みがき粉や鹿の角粉でみがき上げます。また、仕上げた象牙を赤や青に染めて、その上から細かい線の模様を脱る撥鏤という奈良時代の技術が復元され、工芸作品がつくられています。
<出典:『伝統工芸ってなに?』日本工芸会東日本支部編/芸艸堂刊 P.66,67>