ガラスとは |
ガラスは、珪砂という原料を高熱の窯で熔かして形をつくり、模様を削り出すことでつくられます。ガラスの原料は、焼きものなどと同じ鉱物質の珪砂を細かく砕いたもので、石灰やソーダと混ぜて1200度以上の窯で溶かして液状にします。色ガラスは金属の酸化物を加えて、色ごとに別々の窯で溶かして使います。
光を通す透明な美しさと、自由な形づくりができるのがガラスの特徴です。ガラスの形や厚みによって、透明感や光の屈折が美しくあらわれます。色ガラスとの組み合わせによる色の変化も見所です。
技法紹介 |
高温の窯で溶かしたガラスをステンレスのパイプ(竿といいます)の先に巻きつけ、息を吹きこんで風船のように膨らませて形をつくります。形をつくり上げた後は、徐冷窯の中でゆっくり冷まして完成します。息を吹きこんだ形を活かしてつくるものを「宙吹きガラス」といい、息の吹き方やパイプの動かし方で自由に形がつくれます。
また、ガラスを木や金属の型に吹きこんでつくるガラスを「型吹きガラス」といい、同じ形の作品を多量につくることができます。
〈吹きガラスの制作工程〉
①窯のなかで熔けたガラス竿をにとる
②息を吹きこんでガラスを膨らませて形をつくる
③回転させながらはさみで広げていく
④こてで形を整え、除冷窯でゆっくり冷ます
回転するグラインダーにいろいろな形の砥石やダイヤモンドホイールをつけて、器の形につくったガラスの表面に押し当てて、幾何学模様や曲線を削り出します。細かい砥石で模様を整え、みがきあげて完成します。江戸切子、薩摩切子が知られています。様々な角度や形で彫られたカット模様が生み出す光の輝きと見る角度で変わる光の反射と屈折が見所です。
器の形につくったガラスの表面を、銅板をつけた小型のグラインダーを回転させて、油と砂をまぜた研磨剤をつけながら、模様を彫ります。植物や動物など、自由に彫ることができます。光を通すガラスの性質によって、立体的な浮き彫りが美しくあらわれます。
粘土で作品の形をつくり、さらに、石膏で型をとります。原料のガラスの粉を特殊なのりで練り、この石膏型に入れて焼きます。熱が加わるとガラスが熔けて型通りの形ができあがります。ゆっくり冷やしてから型からはずしてできあがります。ガラス全体に細かい空気の泡がはいるので、半透明になり、独特の淡い色にできあがります。
①粘土で作品の形をつくる
②石膏で型をとる
③粘土を取り出し、ガラスの粒を入れて電気炉で焼く
④冷ましてから型をはずし完成
器の形につくったガラスの表面に、エナメルの絵の具で模様を描きます。600度程度の低い温度の電気炉の中で焼きつけます。エナメルは焼くと表面がつややかになります。
<出典:『伝統工芸ってなに?』日本工芸会東日本支部編/芸艸堂刊 P.60〜63>