彫漆について

800年ほど前に中国から伝わった技法で、素地に色漆を何十回も塗り重ねて厚い漆の層をつくり、そこに彫刻刀で彫り込んで模様を表現する技法をいいます。

伝統工芸技法:彫漆 ARTerrace

彫漆とは

素地に色漆を何十回も塗り重ねて厚い漆の層をつくります。その層に、彫刻刀で彫り込んで模様を表現する技法を彫漆といいます。800年ほど前に中国から伝わった技法です。彫漆の仕事はまず、完成を考えながら色を塗ることからはじまります。黒漆は百回塗り重ねて、やっと厚さが3ミリになります。朱漆を塗り重ねて貼ったものを堆朱、黒漆を塗り重ねて彫ったものを堆黒といいます。

 

〈色漆〉

透漆に顔料を練りこむと、色漆になります。昔から天然顔料でつくれる色漆は、「朱・黄・緑・黒・弁柄」の5色です。鉄分を加えることによっても化学変化がおきて黒漆ができます。最近では化学的に作った合成顔料によって、白色や紫色などの色も出せるようになりました。

 

彫漆の制作工程

 

①色漆を何色も塗り重ねて、漆の層をつくります

②塗り重ねた色が見えるように工夫をしながら模様を彫ります

③表面がなめらかになるように細かい砥石で研ぎます

④部分的に磨いて仕上げます

 

 

 

<出典:『伝統工芸ってなに?』日本工芸会東日本支部編/芸艸堂刊 P36>