七宝とは |
七宝の起源は、古代エジプトにさかのぼります。金属の器の上に、銀線とガラス質の釉薬をのせて模様をつくり、電気炉で焼きつけます。釉薬が溶けて表面の模様がガラス状に固まり、完成します。日本特有の技法が工夫されて、華麗で美しい七宝の作品がつくられています。
七宝づくりにおいて、色をつける際に釉薬が用いられます。ガラス質のものに色のもととなる顔料を加えて高温で熔かします。冷めたら乳鉢にいれ、細かく砕き、ふるいにかけて一色ずつつくります。これを釉薬といいます。
技法紹介 |
帯状の銀線を立て、色の境目を区切る方法です。 七宝作品の基本的なつくりかたです。
①器の形を銅や銀でつくる
②下引釉を焼き付けた後、模様に合わせて銀線を立て、焼き付ける
③銀線で区切られた模様のなかに釉薬をのせる
④電気炉で850度くらいで焼きつけ、砥石でみがいて仕上げる
有線七宝と同じ方法でつくり、最後に器の銅の部分を酸で溶かして表面の七宝部分だけ残してつくります。七宝では、器のもとになる金属の部分を胎といいます。この技法は、胎を省く七宝という意味で省胎七宝という名前がつけられています。
①銅の胎のうえに銀線を置き、釉薬をのせます
②焼きつけてから塩化ビニール系樹脂を塗り、表面を保護します
③酸に浸け銅の胎を溶かします。保護膜をはがし、みがいて完成!
光沢のない泥のように見える不透明の七宝です。色の境目を区切るのは、銀線ではなく真鍮線を使います。
切り透し七宝とも称され、銅素地の模様の一部分を糸鋸で切り取りその部分に特殊な幅の銀線を素地に焼き付け、その中の空の部分に透明の七宝釉を焼成し、銅素地の残存部分に有線無線の七宝をほどこす技法です。
<出典:『伝統工芸ってなに?』日本工芸会東日本支部編/芸艸堂刊 P.64,65>