桂 盛仁 先生からのメッセージ
全ての彫金技法を持ち、今後も研鑽していきたいです。また、若い人に彫金技法を伝承し、継承して欲しいと願っております。
工芸作品は元々家庭内で使用し鑑賞していました。お部屋の中、家の中に美が溢れている日本文化を高めていただきたいです。
柳川派 金工作家 桂 盛仁 先生について (重要無形文化財「彫金」保持者)
出典:「世界に誇る物語ちゃんねる」公式YouTube/超絶技法「人間国宝(彫金)桂 盛仁先生」編へ
桂盛仁先生は東京都台東区で生まれ育ち、現在も東京都を活動拠点とする金工作家です。
「私の父・桂盛行は刀装金工家の系譜を受け継ぐ、彫金および帯留金具の名人でした」。工芸の視点から捉える日本刀は、まさに総合芸術と呼ぶにふさわしい存在です。ひと振りの刀には、鍛造、研磨、彫金といった高度な技が集約されており、なかでも刀装具は、彫金・鍛造・漆芸・組紐など多様な工芸分野が結集して生み出されます。各分野の専門工匠たちが技を競い合うことで、刀装具の美は洗練され、華やかな発展を遂げてきました。幕末に来航したペリー提督もまた、日本の刀装具に強い驚嘆を示したと伝えられています。
そんな刀装金工の名人である父・盛行氏より、盛仁先生は幼いころから彫金の手ほどきを受けます。その後、工芸高校で金工を、武蔵野美術短期大学にてグラフィックデザインを学んだ盛仁先生は、父の仕事を手伝いながら公募展に挑戦します。なんと、初出品から入選を重ね、20代で早くも頭角を現すことに。目指していたのは単なる技巧の継承ではありませんでした。「金属を通して、新しい美を生み出したい」。その思いが、作家としての軸になっていきます。

伝統技法の極致
技術面において核にあるのは、鍛金・彫金・象嵌といった、日本金工の王道ともいえる技法です。「鍛金(たんきん)」は金属板を何千回も叩き、金属の板を何度も叩き、徐々に形を整えて思いのままのフォルムを生み出す技法。それぞれ、「彫金(ちょうきん)」は金属の表面に文様や装飾を彫り込む技法。古くは古墳時代に遡り、仏教調度品や武士の刀剣の装具を装飾する技術として発達しました。「象嵌(ぞうがん)」は異なる種類の金属を嵌め込んで模様やデザインを作る技法です。いずれも極めて高度な技術を要する技法です。また、制作にあたっては、動物園に足を運び、動きを観察し、写真を撮り、スケッチを重ねます。徹底した準備の積み重ねが、造形へと昇華されていきます。
そして2008年、重要無形文化財「彫金」保持者、いわゆる「人間国宝」に認定されます。日本金工を代表する存在となった今も、先生の視線は常に次世代へと向いています。工房での弟子育成に加え、大学での指導や講演、ワークショップを通じ、技術だけでなく「ものづくりへの姿勢」を伝え続けます。
出典:「文化遺産オンライン」公式動画/工芸技術記録映画「彫金―桂盛仁のわざ―」

ポケモン、GUCCI、VAN CLEEF & ARPELSなどとコラボ
多くの若手に支持されているのが「技術は時代とともに進化する」という信念に基づき、現代的な感覚を恐れず取り込む姿勢。2024年11月1日から2025年2月2日まで開催された「ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見―」では赤銅を用いてブラッキーを格調高く再現。GUCCIの日本上陸60周年を記念したプロジェクトでは、ビンテージの「グッチ バンブー 1947」をアップサイクルする作品を制作。ヴァン クリーフ&アーペルとは、てんとう虫と唐辛子のモダンな帯留めを手掛けておられます。
金工に、卓越した技術と革新的なアプローチで新しい風を吹き込む桂盛仁先生。金属で表現された一つひとつの造形に、積み重ねられた伝統と、みずみずしく柔軟な精神を感じ取っていただければ幸いです。



















